「家族じまい」の相談が6倍に。縁を切られる側は、親の世代だ

縁を切られる側に、私たちの世代が入ってきた。読売テレビの「ニュースto」が10月22日に放送し、11月3日にネットで配信した話を読んで、そう思った。

親と縁を切る「家族じまい」の相談が増えているという。家族の代わりに介護や看取り、葬式までを有料で引き受ける一般社団法人LMNには、2022年1〜3月に55件だった相談が、2026年1〜3月には320件来た。4年で6倍ほどである。

相談する子の年齢が下がった

数字より目を引いたのは、相談する側の顔ぶれだ。番組によると、以前は60代や70代の子が、親の過干渉や厳しいしつけ、男尊女卑の考え方に悩んで相談に来る例が多かった。いまは、ネグレクトやモラハラに苦しんだ20代、30代が4割を占める。親がまだ介護を受ける年でもないうちから、先のことを考えて動く子がいるということになる。

LMNの遠藤英樹代表理事は、これを「老い逃げ」を許さない気持ちだと説明している。暴言や過干渉で子を傷つけてきた親が、過ちを認めず謝りもしないまま、介護の負担だけを子に押しつけて亡くなる。それが老い逃げだという。番組によると、代行サービスの初期登録料は55万円。縁を切るにも金がかかる時代になった。

江戸の勘当は、親のほうから切った

そういえば、昔の「勘当」は向きが逆だった。辞典によると、江戸時代の勘当は親が子との縁を切るもので、奉行所などに届け出て帳簿に載せてはじめて法律上の効き目があった。勘当された子は相続の権利を失い、親は子の借金や罪の責任を負わずに済んだ。口で言い渡すだけの「内証勘当」もあったが、こちらに法律上の効き目はなかった。明治になって、この制度はなくなったという。

いまの法律には、大人になった子が親との縁を切る手続きがない。戸籍を親と分ける「分籍」はできるが、役所の案内にも、戸籍が分かれるだけで親との関係は何も変わらない、とある。民法877条は、親と子のような直系の血族は互いに扶養する義務がある、と定めている。求められるのはできる範囲の扶養とされるが、義務であることに変わりはない。子が代行を頼んで、会わない、連絡しないという形をとるのは、法律で切れないものを暮らしの上で切るしかないからだろう。

切られる側から読む

ヤフコメで共感を集めたのは、子の側の怒りより、親の側の自戒だった。11月4日昼の時点で上の二つを占めていたのは、年を取ると性格が変わることがあり、自分は大丈夫とは言い切れない、という書き込みである。

私も同じところで手が止まった。番組の事例はひどい親の話だが、縁を切る理由の中には、親の側が気づかないまま積み重なったものもあるはずだ。厳しくするのが親のつとめだと言われた時代があった。それを当たり前と思って育て、悪いことをしたとは考えたこともない人もいるだろう。

子のほうから縁を切る時代になったのなら、親のほうも、謝るべきことは自分の口がはっきりしているうちに謝っておくほうがいい。55万円の登録料よりは、ずっと安くつく。

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