ドアに大きな穴が開いていて、中がのぞける。部屋の中まで草が伸びている。
千葉県茂原市の市営「真名(まんな)団地」を、フジテレビの取材班が10月19日に訪ねた時の様子です。今年の3月に最後の住人が退去し、いまは誰も住んでいません。この記事は、21日の朝、ヤフーニュースの国内のアクセスで1位になっていました。
高い建物のない団地
団地と聞くと、5階建てくらいの棟が並ぶ姿を思い浮かべる方も多いと思います。真名団地は違いました。
茂原市が今年6月にまとめた計画書を見ると、建物は鉄筋コンクリートの平屋が20棟、二階建てが52棟。平屋は昭和45年、二階建ては昭和46年から50年にかけて建っています。四階建ては集会所の1棟だけで、あとは低い住宅が並ぶ団地でした。
記事によれば、最盛期には約1000人が暮らしていました。茂原は天然ガスとヨウ素の産地で、化学工業の会社が集まる町です。ところが2010年代に工場の閉鎖が相次ぎ、団地はにぎわいを失っていったそうです。
土地の半分以上は借りていた
計画書を読んでいて、私が知らなかったのはここです。
団地の敷地は約5.6ヘクタール。そのうち市の土地は約2.4ヘクタールで、残りの約3.2ヘクタールは民間の土地を借りていました。地主は25人いるそうです(今年4月末の時点)。
市営住宅は、市の土地に市が建てたものだと思い込んでいました。半分以上が借地となると、跡地をどう使うかは、市だけでは決められません。計画書にも、地主の同意の見込みを考えた事業計画を出してもらう、と書かれています。
次は工場の土地に
茂原市は、跡地を産業用地にする方針です。計画書では、半導体、医療、電気自動車や蓄電池といった分野の工場を呼びたいとしています。
茂原市の西の端には圏央道が通っていて、市内にインターチェンジが三つあります。千葉県内で残っている区間も、今年度に開通する予定だそうです。市の担当者は取材に、インターチェンジに近い立地が適していると話していました。団地の取り壊しは、開発を引き受ける民間の事業者が行うことになっていて、市はその事業者を選んでいるところです。
計画書には、課題も並んでいました。団地と周りの一部は、土砂災害の特別警戒区域、いわゆるレッドゾーンに入っています。敷地の真ん中には「真名横穴群」という遺跡もあります。古い建物を壊して平らな土地にするにも、手間のかかる場所のようです。
昔住んでいた人
取材の日には、バイクで来た父と娘がいたそうです。父親は昔ここに住んでいて、子どもの頃は周りに団地がたくさんあったと話していました。
工場で働く人が増えて団地が建ち、工場が閉じて人が去り、今度はその跡に新しい工場を呼ぶ。昭和45年に建った平屋の団地は、町の仕事の移り変わりを、そのまま一生にしたように見えます。

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