その会社ができたのは、2024年の4月1日だそうです。
それから2年半ほどの間に、埼玉県内の消費生活センターには、この会社についての相談が84件寄せられていました。埼玉県は10月19日、この会社に3か月の業務停止を命じています。
「無料で見ます」から始まる
処分を受けたのは、屋根の修繕工事などをしていた株式会社一条建設です。本社は東京都港区、営業所は埼玉県八潮市にあります。
県の発表資料を読むと、やり方はこうです。家を訪ねて屋根の点検を持ちかけ、点検のあとで有料の修繕工事を勧め、契約したら工事をする。
問題とされたのは二つです。一つは、最初に「屋根がはがれている」「浮いている」と告げるだけで、工事を売るのが目的だと言わなかったこと。もう一つは、実際には不具合がないのに、すぐ直さないといけないかのように告げたことでした。
埼玉新聞によると、契約に至った場合の金額は平均で約188万円。屋根の上は自分では見られません。「はがれていますよ」と言われたら、確かめようがないわけです。
仙台市の相談例も同じ形
仙台市の消費生活センターのホームページにも、よく似た相談例が載っていました。近所で工事をしているついでに、と業者が来て、無料で点検すると言う。そのあと「雨漏りのおそれがある」「今なら安くできる」と言われ、不安になって契約した、という話です。
近所の工事、無料、今なら。この三つがそろったら、一度立ち止まる合図だと思います。
工事のあとでも8日以内なら
私が知らなかったのは、ここからです。
訪問販売で結んだ契約は、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、クーリング・オフで契約を解除できます。消費者庁の案内を読むと、工事がもう終わっていても使えるそうです。
その場合、工事の代金は払わなくてよい。手付金などを払っていれば、すぐに返してもらえる。建物に手が加わっていれば、無料で元に戻すよう求められる。そう書いてありました。
もう屋根をいじられてしまったから手遅れだ、と思い込む必要はないということです。解除の知らせは、書面か電子メールなどの記録が残る形で送ります。法律の条文では、知らせを出した時に効き目が生じるとされていて、8日目に出せば間に合う計算です。
8日を過ぎていても、業者が期間についてうそをついたり、脅したりしていた場合は、解除できることがあるそうです。
反対に、自分から業者を家に呼んで、契約したいと頼んだ場合は、この決まりの対象にならないことがあります。今回のように、向こうから訪ねてきた話とは分けて考えたほうがよさそうです。
迷ったら188
埼玉県は、突然の訪問で無料点検を持ちかけられても安易に受けないこと、点検を受けてもその場では契約しないことを呼びかけています。
困ったときは、消費者ホットラインの「188」に電話すると、近くの消費生活相談の窓口につながります。
偶然ですが、契約の平均額と同じ数字です。188万円と言われる前に、188番。そう覚えておくと忘れにくいかもしれません。

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