「落とし物が届いています」という封書、本物と偽物の見分け方

玄関先に、茶色い封筒が置かれていた。差出人は「警視庁遺失物センター」。中の紙には「遺失物通知書」とあり、落とし物としてマイナンバーカードを保管している、と書いてある。
東京都内の住宅で実際にあった話です。住人が不審に思って警察に相談し、偽物だと分かりました。

本物そっくりに作ってある

警視庁は10月8日、公式Xでこの封書への注意を呼びかけました。報道によると、遺失物センターを名乗る封書が確認されたのは、これが初めてだそうです。
厄介なのは、本物に似せる手間をかけている点です。封筒には実在する遺失物センターの電話番号が印刷され、通知書には受理番号まで書いてありました。
そもそも本物の遺失物センターも、落とし物が見つかると「拾得物受理通知書」を手紙で送ってきます。警視庁のホームページにもそう案内されています。手紙が来ること自体はおかしくないので、つい信じてしまうわけです。

狙いは暗証番号

通知書の二次元コードをスマホで読み取ると、警視庁の本物の手続きサイトに似せた偽サイトにつながります。そこで、マイナンバーカードの暗証番号や、免許証の画像を出すよう求めてくる仕組みです。
詐欺の手口に詳しい人の見立てでは、盗んだ個人情報を使って次の詐欺を仕掛けるのが本当の狙いではないか、ということでした。

見分ける三つの点

警視庁は、本物ならありえない点を挙げています。

  • 切手が貼っていない(本物の封書には必ず切手が貼ってある)
  • 問い合わせ先が携帯電話の番号(今回は070で始まる番号だった)
  • マイナンバーカードの暗証番号を入力させる

二次元コードが付いていること自体は、本物でもありうるそうです。ですから、コードがあるから偽物だ、とは決めつけられません。見るのは切手、電話番号、暗証番号の三つです。

本物の手続きは逆を向いている

気になって、警視庁のホームページで本物の手続きも見てみました。
通知書を受け取った人は、送付の依頼書に記入し、身分証明書の写しと一緒に郵送します。落とし物は、あとから着払いで届きます。
面白いのは、身分証にマイナンバーカードの写しを使う場合、番号の部分と二次元コードの部分を隠すよう求めていることです。本物は番号を隠させ、偽物は暗証番号を打たせる。向きがまるで逆なのです。

落とした心当たりがあってもなくても、封書に書かれた番号やコードは使わずに、最寄りの警察署に相談するのが安全です。急ぎでない相談なら、警察相談専用電話の「#9110」もあります。
電話の詐欺には身構えるようになった人でも、紙で届くと、つい役所の書類のように扱ってしまうものです。封筒を開ける前に、切手のところを一度見る。それだけでも、かなり防げると思います。

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