田舎で一人暮らしをする義母に、フリーズドライのみそ汁をどっさり持って行ったら、いつもの和菓子よりずっと喜ばれた。東京に住む人のそんな投稿を、まいどなニュースが10月28日に取り上げている。義母のひと言は「お菓子よりこっちのがいいに」だったという。
これは贈る側の盲点だと思う。手土産というと、見栄えがして形の残るものを選びがちだ。だが一人暮らしの台所から見れば、甘いものは食べきるのに日がかかる。みそ汁なら毎日一つずつ減っていく。投稿した人も、一人分のみそ汁を作るのは面倒だから、と見立てていた。
もらった物が、近所へのお礼になる
私が感心したのはその先だ。記事によれば義母は、近所の人に大根をもらった時、電球を替えてもらった時、車で送ってもらった時に、このみそ汁をお礼として渡しているそうだ。
もらった手土産が、そのまま近所への返礼の品になっている。昔からあるおすそ分けの回し方である。投稿した人は、「嫁がいっぱい送ってきて」と言えば相手も遠慮しない、と話している。量が多いことが、そのまま配りやすさになっているわけだ。
ネットでは、友人との手土産の交換も、昔はお菓子ばかりだったが、近ごろは佃煮やみそ汁のような塩気のもののほうが喜ばれる、と言う人もいた。葬式の会葬御礼に入っていて、初めて味を知ったという人もいる。贈り物の好みも、甘いものから塩気のものへ、静かに移っているのかもしれない。
「安かろう、まずかろう」からの出世
そういえば、即席のみそ汁には「安かろう、まずかろう」と言われた時代がある。雑誌DIMEの記事によれば、永谷園が1974年、昭和49年に開発した「あさげ」は、手間のかかるフリーズドライ製法を使い、1袋40円で売られた。当時の一般的な即席みそ汁の4倍の値段だったという。
今回のアマノフーズは、日本で初めてのブロック型のフリーズドライみそ汁を1982年に作った、とアサヒグループ食品の担当者は話している。即席のみそ汁は、半世紀かけて手土産になるところまで出世したことになる。
一袋の使い道
担当者によれば、常温で約1年もつ品が多く、ふだん使いながら多めに置いておく「ローリングストック」に回す人もいるそうだ。首相官邸の防災のページは、大規模な災害では1週間分の備蓄が望ましいとしている。
手土産のつもりの一袋が、毎日の一杯にも、近所へのお礼にも、いざという時の備えにもなる。和菓子に勝ったのは、その使い道の広さだと私は思う。

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