ネットで叱られたのは、もうやめていたやり方だった。
あしなが育英会の学生が街頭に立つ募金について、今年の春、「半分はアフリカの支援に使われる」という投稿がXで広がった。50万回表示された投稿があり、YouTubeには100万回以上再生された動画も出たという(読売新聞)。ところが、街頭募金の半分をアフリカの遺児に充てていたのは今年の1月まで。2月からは、全額を国内の支援に回していた。
育英会によると、6月までに寄付の辞退が14件あった。「詐欺じゃないのか」といった意見も17件届いたそうだ。
古い説明が残っていた
私が引っかかったのは、話の出どころが育英会自身のホームページだった点である。
投稿した人の一人は読売新聞の取材に、ニュースで募金の様子を見て育英会のホームページを調べ、「募金の半分をアフリカ支援に充てる」という過去の配分の決まりを見つけて投稿した、と答えている。のちに変更を知って、訂正の投稿もしたという。
要するに、誰かが嘘をこしらえたのではない。古い説明が、今も通じるような顔で残っていた。それを今の話として読んだ人がいて、その投稿が何十万回も表示された。育英会は「過去の情報が現在も適用されているような誤解を生んだ」として、使い道の変更を改めてホームページに載せ、古い説明には注釈を付けた。
損をしたのは誰か
この話を、寄付をやめた人の側から見るのはやめて、待っている子どもの側から見るとどうなるか。
2025年度に、国内で新たに奨学金を申し込んだ遺児は3217人いた。給付できたのは1878人で、約4割が受けられなかった。物価高で申し込む子が増え、育英会は2月に、街頭募金を全額国内に回すことに決めたのだという。
つまり、辞退された寄付は、まさにその国内の子どもたちに届くはずのお金だった。アフリカに回るのが嫌で手を引いた人のお金が、結果として日本の子どもから引かれたことになる。皮肉な話である。
1970年からの募金
そういえば、この街頭募金は古い。学生による街頭募金は1970年から続いているという(あしなが学生募金事務局、2022年の発表)。病気や事故で親を亡くした子を支える今の育英会ができたのは1993年だ。半世紀を超えて続いた募金が、一つの投稿でぐらつく。今はそういう時代なのだと思う。
募金をめぐるうわさは、今に始まったことでもない。日本ユニセフ協会は2013年、親善大使が募金で家を建てたといった話を公式サイトで否定している。今年7月の熊本地震では、日本赤十字社をかたって義援金を呼びかけるメールが出回った(読売新聞)。
寄付する側が使い道を確かめるのは、もちろん大事だ。ただ、ホームページで見つけた説明が「いつの話か」までは、なかなか見ない。今回の騒ぎで一番の教訓は、たぶんそこにある。育英会は秋の街頭募金で、使い道を改めて知らせている。

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