店で作って売る食品でも、賞味期限だけは省けない

店で作ってその場で売る食べ物は、原材料も、作った業者の名前も、書かなくてよいことになっている。ただし、消費期限と賞味期限だけは省けない。法律の表を読んで、これには少し驚いた。

きっかけは、LIMOが11月2日に配信した記事である。旅先の魚市場で家族が買ってきた紅鮭の西京漬に、どこを探しても賞味期限が見当たらない、とXに投稿した人がいて、513万回以上表示されたという。返信には、店のラベルの貼り忘れではないか、はがれたのではないか、という声が並んだ。記事は見出しで「判明した真実」とうたっているが、配信された本文を読む限り、結局どれが本当だったのかは書いていない。

省いてよいものの表に、期限はない

食品表示基準という内閣府令がある。袋やパックに入れた加工食品を売るときは、名称、保存の方法、消費期限か賞味期限などを表示するよう定めている(第3条)。味を付けた魚は、この基準の上では「加工魚介類」で、加工食品に入る。

そのうえで第5条に、表示しなくてよい場合の表がある。「食品を製造し、又は加工した場所で販売する場合」には、原材料名、内容量、作った業者の名前と住所、原産国名などは要らない。ところが、この表に期限は入っていない。店の奥で漬けてパックに詰めた西京漬でも、売るなら賞味期限か消費期限は書くことになる。

してみると、パックの品に日付がないのは、貼り忘れか、はがれたかのどちらかだろう、というのが私の見立てだ。返信の推測は、たぶん当たっている。

昭和の店先は「製造年月日」だった

覚えている方も多いと思うが、昔の牛乳やハムには、いつ作ったかの日付が押してあった。厚生労働省の資料によると、昭和23年に食品衛生法が施行されたとき、飲用牛乳やハム、缶詰などに製造年月日の表示が義務付けられた。それを「いつまで」の期限の表示に改める省令が出たのは平成7年で、ラベルを刷り直すために平成9年3月まで猶予が置かれた。すべての加工食品に期限が付くようになったのは平成13年4月である。

製造年月日に代えて期限を示すほうが有用だ、というのが当時の検討会の結論だった。作った日だけが書いてあれば、あとは自分の鼻と舌で決めるしかない。期限の表示は、その判断を作る側に引き受けさせた仕組みとも言える。

そう考えると、日付のない西京漬が513万回も見られたのは、私たちがすっかり日付に任せる暮らしに慣れた証拠のようにも思える。昭和の台所なら、においを嗅いで終わっていた話だ。

もらい物で日付が見当たらなければ、買った店に聞くのが一番早い。保存の方法も一緒に聞いておけば、冷蔵庫のどこに置くかまで決まる。

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