小さな軽自動車が、ケンメリのスカイラインGT-Rの顔をしている。日本自動車大学校の学生たちが2024年の東京オートサロンに出したカスタムカー「ちびメリ」を、くるまのニュースが11月4日にあらためて紹介していた。
土台はスズキの「マイティボーイ」だ。1983年2月に出た、座席の後ろが荷台になった2人乗りの軽で、全長は3195ミリしかない。そこに、ケンメリの純正部品をもとにした部品を組み合わせ、濃い緑と金の色分け、「Skyline」の文字、「73」のゼッケンまで写し取った。エンジンは550ccの28馬力のままで、公道も走れるという。
本物は、一度もレースに出なかった
ケンメリという呼び名は、4代目スカイラインのテレビCM「ケンとメリーのスカイライン」から来ている。CMに出た外国人の男女の名前だ。日産もこの愛称を自分で使い、Tシャツまで売れる騒ぎになった。4代目が出たのは1972年9月である。
ところが、GT-Rだけは話が違う。先代のGT-Rは、49連勝を含む52勝を挙げた。先代とは「ハコスカ」と呼ばれた3代目のことで、GT-Rは初め4ドアで出て、1970年の秋に2ドアが加わっている。角張った車体で勝ち続けた車の跡を、丸みを帯びた新しい車が継ぐことになった。ケンメリのGT-Rもそれを継ぐはずで、1972年の東京モーターショーにはレース仕様のコンセプトカーまで並んだ。それなのに、オイルショックなどで日産のワークス活動が止まり、実戦には一度も出られなかった。売られた期間はわずか3か月ほどで、作られたのは197台だけだという。
ケンメリの名は社会現象になったのに、197台のGT-Rのほうは見かけることさえ難しかったはずだ。オイルショックは石油の値段を上げただけでなく、車好きの夢も一つ止めたことになる。
45万円の軽が、続きを走る
私が面白いと思ったのは、組み合わせの妙である。マイティボーイは新車で45万円、同じころのアルトより4万円安かったという。片や、走る場をもらえなかった197台の名車。片や、安さが売りの荷台付きの軽。学生たちは、その二つを一台にまとめてしまった。
マイティボーイも、作られたのは1988年までの5年ほどで、今ではめったに見かけない。短く終わった車同士が、半世紀たって一台になって公道を走る。そう考えると、ただの冗談の車には見えない。
記事は、もし売り出されていたら人気が出たかもしれない、と結んでいた。私は、売り出さないほうがいいと思う。197台と1台。どちらも数が少ないから、話の種になる。

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